ダムの緊急放流はなぜ?川が氾濫間際に放流する理由を調査!

西日本を襲った線状降水帯、2019年10月に列島を襲った台風19号ハギビスなど、予想を超える記録的な豪雨が降りしきることが多くなってきた気がします。

大雨がもたらす水害の要因に河川の氾濫があります。

2019年10月の台風19号の時も多くの河川が氾濫間近の状態の中、相模川上流の城山ダムや、利根川、荒川上流のダムが緊急放流をするという事が発表されました。

河川の氾濫間近の中、追い打ちをかけるように見えるダムの緊急放流の理由が気になったので調べてみました。

ダムの緊急放流の理由はなぜ?

まず最初に申し上げますが、ダムの緊急放流の理由は、決して川を氾濫させようと言う物ではありません。

結果として、多くの水が下流へと流入するので氾濫の可能性が非常に高くなるのですが、目的としてはダム本体の決壊を抑えるためです。

ダムの決壊が起きるとどんなことが起きるのか。

ダムの決壊が起きれば、コントロールが効かない尋常な量の水が下流へと流れ込みます。

そうなると被害の大きさは計り知れず、下手をすると地形を変えてしまうほどの水の流れになる可能性も秘めています。

最悪の事態を回避するための手段が緊急放流ということになります。

ちなみに

「ダムが満水になる前に、少しずつ放流したらよかったのに」

という意見を聞くことがありますが

少しずつの放流は実施しています。

緊急放流が始まるまでは、上流からダムへと流れ込む水をある程度ダムで受け取りつつ、下流へ調整して流している状態です。

つまり緊急放流までは

10入ってくる水の半分をダムにプールして、下流には5にして流している。

と言う状況ですね。

河川が氾濫間近まで来ている状況であったとしても、ダムが今まである程度の流入を抑えていたからこそ、まだ氾濫していないというのがダムの仕事です。

その機能に限界がきて、決壊しそうになるから

ここからは入ってくる量をプールせずそのまま流す

と言うのが緊急放流です。

台風19号直撃時の城山ダムも、入ってくる水を受け入れつつ、少しずつ放流している状態でした。

2019年10月12日17:00現在の放流量をチェックしてみたところ、2,585.35との記載。

単位が書いていませんが、恐らく㎥/Sで間違いないでしょう。

なので約2,600kℓが一秒間に放流されている状況ですね。

1㎥が1kℓなので、1秒間にMaxで2,600kℓの水が放出されている状態です。

数字だと分かりにくいですが、身近で言うと浴槽が大体200ℓなので、1秒間に浴槽13,000個分の水がひっくり返されている状態です。

…逆に分かりにくくなったきがします。すみません

つまりこの時も、これ以上の水量がダムに入り続けているのを、水量を絞って下流の増水を少しでも抑えようとしている状況です。

ダムが無ければダムから放流されている以上の水量が河川に注ぎ込んでいきます。

ダムが無ければ、既に氾濫していてもおかしくないのです。

ちなみに

「台風来るって分かってるんだから、事前に水を減らしてないの?」

と言う意見が散見されますが、しっかりと事前放流はされています

出来る範囲で準備し、それでもダムの容量を超える水が流入しているという事です。

ダムの緊急放流で下流はどうなる?

基本的にダムの放流は、溜まったものを一気に放流するわけではありません

これは計画放流だろうが、緊急放流だろうが同じです。

ちなみにダムの計画放流には最大放流量が決まっておりこれを計画最大放流と呼びます

ダムの洪水調節計画で、洪水調節時にダムから放流することになる最大の流量をいいます。これは、ダム直下の計画高水流量に相当します。

出典:ダム事典より

最大の放流量がダムが付随する河川の計画高水流量に左右されるので、その計画高水流量が分かれば、どの程度の水が放出されるか分かりますね。

ちなみに相模川の計画高水流量ですが

計画高水流量は、洪水調節施設により洪水調節して、磯部において 6,400㎥/s とし

さらに中津川の合流量及び残流域からの流入量を合わせて厚木において 7,300㎥/s とする。

その下流では支川及び残流域からの流入量を合わせ、河口において、7,800㎥/s とする。

出典:相模川水系河川整備基本方針より

1㎥が1kℓなので、河口付近では1秒間にMaxで7,800kℓの水が増えるという訳です。

ただこれは計画放流での話

今回は緊急放流です。

緊急放流では、ダムの貯水量が満水より増えないよう、入ってくる量を全て放流する事になります。(決して貯めている水をすべて吐き出すわけではありません

入ってくる水の量=放流される量に変わってくるので、水位の上昇はかなりのスピードになるでしょう。

氾濫間近の河川であれば越水などの恐れが高まりますので、必ず事前に避難をされる事をお勧めします。

参考例:西日本豪雨での緊急放流の結果

記憶に新しい緊急放流は2018年の西日本豪雨での肱川上流の野村ダムでの緊急放流でしょう。

この時も貯水量をはるかに超える豪雨に耐えられず、早朝6:30分に緊急放流がなされました。

当時消防などが駆けずり回り住民に避難を促して回りましたが、それでも避難が間に合わず犠牲者が出てしまう結果となってしまってます。

我々が出来るのは、この悲劇を教訓に危険な状況になる前に、避難をして命をつなぐという事です。

緊急放流は、ダムが決壊するより被害を抑えるため、という苦肉の策です。

つまり被害が出ないという事はありません。

個人的には2階よりも避難所をお勧めしますが、流石に上陸している今無理に外に出る方が危険な場合もあります。

避難をされる場合は、状況をよく見て、少しでも命の助かる可能性のある行動をお願いします。

まとめ

今回はダム放流の理由などをまとめました。

ダムが決壊するのを防ぐための措置であり、決して下流を洪水で如何こうしてやろうという目的ではありません。

ダムの上部を超えたからと言って、コンクリート製のすぐにダムが決壊するかと言われれば、そうではありませんが、ダムの上には門の開閉システムを始め、重要な設備があります。

その辺りが水没してしまうと、ダムはコントロールを失う事になります。

下流にお住まいの方には納得しづらい状況かもしれませんが、それでもダムが無ければ今以上に被害は広がっていたことは確実でしょう。

自然の驚異の前には我々は無力ですが、命があればやり直せます。

あの時の台風は酷かったよね。

あの時の雨はヤバかったわ。

と皆で話せる未来が来ることを切に望みます。