韓国の外貨準備高は矛盾だらけ?その理由を分かりやすく解説!

こんにちは、椎木です。

ウォン安に喘ぐ韓国ですが、そんな苦しい隣国にも明るいニュースがありましたね。

ここ最近増加を見せてきた韓国の外貨準備高が、事あるごとに過去最高を突破し4000億ドルを超える額までになりました。

これは世界でも9番目の保有量ですね。

ウォン安で迫る通貨危機を乗り越えるための準備は万全。

と言いたい所ですが、調べてみると……うーん?本当に4000億ドルある?

という疑問が出てきたので分かりやすくまとめてみました。

そもそも外貨準備高とは?

そもそも外貨準備高と言うのはどういう物を言うかと言うと

各国の通貨当局の管理下にある、直ちに利用可能な対外資産のこと。通貨当局が急激な為替相場の変動を抑制するとき(為替介入)や、他国に対する外貨建債務の返済が困難になったときなどに用いられます。

SMBCより

簡単に言うといざという時に使える外国のお金(有価証券含む)と言う事ですね。

そのいざという時が、今のウォン安進行のような為替相場の変動抑制だったりするわけです。

日本の外貨準備高は、2018年12月末時点で約1兆2,700億ドルに達しています。

これは中国に次ぐ世界第2位の額になります。「ちょっと多すぎるだろ」との意見も出ている保有量ですね。

韓国の外貨準備高のどの辺が矛盾なのか

外貨準備高と言うのがどういった物か簡単にご理解いただけたところで、表題の韓国における外貨準備高の矛盾点を見ていきます。

韓国の外貨準備高の内訳

まず矛盾を指摘する前に、韓国の外貨準備高の内訳を見ていきましょう。

  • 有価証券:3720億2000万ドル
  • 外貨預金:202億4000万ドル
  • SDR(国際通貨基金特別引出権):33億9000万ドル※1
  • IMFリザーブポジション:26億7000万ドル※2
  • 金保有:47億9000万ドル

出典:聯合ニュース

※1 IMFが加盟国の準備資産を補完する手段として、1969年に創設した国際準備資産の事でSDR配分を受けた国は、いつでもIMFの仲介を受けて、自身の保有SDRと引き換えに他の加盟国の保有する自由利用可能通貨(IMFが定める。現在はドル・ユーロ・円・ポンド・人民元)を引き出すことができる

※2 IMF 加盟国が IMF から無条件で資金を引き出せる限度額のこと。

有価証券が全体の約92%を占めていますね。

この辺は日本の外貨準備高の多くも有価証券を含んでいるので、別に問題はなさそうです。…が!

その有価証券の内訳が問題になってきますね。

日本における有価証券の内訳はほぼ米国債となっています。

米国債はすぐに現金化できる有価証券としては最強のカードになるので当たり前と言えば、当たり前ですね。

では、韓国の対米国長期有価証券保有額ですが、米国財務省が公表している「TICレポート」によると (2019年4月時点)

およそ3460億ドル(うち米国債1140億ドル/エージェンシー債428億ドル/企業債503億ドル/米企業株式1400億ドル)

おー!企業株を組み込むのは微妙な気がしますが、それでも残りのおよそ300億ドルを、ユーロや円、人民元で建てていたら矛盾はなさそうに見えますね。

ただ残念なお知らせなのですが、このレポートは「韓国全体で米国内に保有する長期債の合計額」 なので、その全てを計上するのは事実上不可能でしょう。

流石に民間が所有している株やら国債やらを、計上しているとしたらそれは不味いですし……。

全世界的に見て、公的機関と民間とでの米国長期有価証券の保有量は、逆転している傾向にあります。(ソースはコチラ)

仮に韓国では民間と公的機関が半々に所有しているとしても3460億ドルの半分なので、1730億ドルということになります。

……一気に雲行きが怪しくなってきましたね。

い、いやまだ、ユーロや人民元、円なんかの他の外貨を多く保有している可能性があるし!トータルであれば問題ないはず!

韓国の外貨準備高はユーロや円建てなのか?

と言う事で、韓国の外貨準備高の半分近くが円やユーロ建てと言う可能性が出てきました。

で、実際どうなのかと言うと、その答えはIMFさんの資料に求めましょう。

IMFが公表する外貨準備高の通貨別構成高に関する「COFER」という統計があります。

原文だとこんな感じ

これを頑張って日本語に訳して、必要な2019年のデータだけを抜き取るとこんな感じ。

項目201年3月末時点(10億ドル)構成比
外貨準備高合計11,591
内訳が明らかな部分10,901100.00%
米ドル6,73961.82%
ユーロ2,219
20.35%
中国人民元2121.95%
日本円5725.24%
英ポンド494
4.53%
豪ドル1821.67%
加ドル2091.92%
スイス・フラン150.15%
その他2672.45%
内訳が不明な部分 689

世界の外貨準備高の構成は、米ドルがだいたい62%であり、これにユーロ、日本円、英ポンドなどが続く形ですね。

この表のまま世界各国がそれぞれの外貨を準備しているとは考えにくいですが(スイスなどは恐らくユーロがその大半を占めているので)それでも無理やりに、この表のとおりに考えると、韓国国内でも米国長期有価証券を60%超は保有していないとおかしい事になります。

ましてや米国の同盟国ですし、韓国の主要産業である貿易は米ドル建てでの取引になるので、60%どころじゃないというのが本当のところでしょう。

ですが、先ほどの試算で出たのは1730億ドルと50%にも満たない数字でした。

いよいよ雲行きが怪しくなってきましたが、最後の賭けですね。

もしかしたら韓国は世界とは違い、公的機関の対米国長期有価証券保有率が高い国なのかもしれないという予想を検証してみましょう。

韓国国内における対米国長期有価証券保有率は?

先程は暴論的にザックリと官民で半分に割ってみた3460億もの有価証券。

ですがこれの割合が公的機関が多ければ問題ない訳ですね。

このデータは韓国の資産循環表に求めましょう。

韓国銀行のページを見たのですが、正直金融素人にはなんのこっちゃサッパリ。

ってなわけで、専門家の力を借りましょう。

一方で、韓国銀行が発表する、2018年3月末時点における資金循環統計によれば、おもに民間部門が保有する外貨建の債券や非居住者発行株式の残高は、次のとおりです。
外債合計…193兆1030億ウォン(約1755億ドル)…①
株式合計…282兆0200億ウォン(約2564億ドル)…②
①②合計…475兆1240億ウォン(約4320億ドル)…③

新宿会計士の政治経済論評より

データは2018年の第3クオーターの物なので、半年ほど前のデータになりますが、これを見る限り韓国国内での民間総外資はおよそ4320億ドルとなっています。

総外資なので、ドルだけでなく勿論円も、ユーロも人民元もありますが、民間と言えど国が保有している割合とそう大差はないでしょう。

なんせ民間の保有と言えど、その多くは企業が保有しているでしょうし、その企業の相手は日本やアメリカになります。

所有している外資はドルや円が多いと想像に難くありません。

仮に少し日本円の割合が多いと考え、国と違いその50%が米ドルだと仮定すると、その額は

およそ2160億ドル

ここで一つ疑問が……先述した「TICレポート」を覚えておいででしょうか。

アレによると2019年4月時点での韓国国内の対米国長期有価証券保有額は、約3420億ドル。

韓国国内の3420億ドルから民間の2160億ドルを引くと1260億ドル……アレ?減っちゃいましたね。

※先程の民間データは2018年末の物なので、数カ月のラグがあるのですが、流石に数カ月でそこまで変動は考えられないので、そのままの数値で考えます。

何と言う事でしょう。検証を続ければ続ける程矛盾が……

韓国の外貨準備高は矛盾だらけ?その理由を分かりやすく解説!のまとめ

今回はここ最近過去最高額を更新し続ける韓国の外貨準備高について、矛盾点をまとめてみました。

TICレポートなども完全に正確な数字ではないという情報もありますし、なにより民間の外資保有率は不透明な部分があります。

それでも韓国の言う外貨準備高を説明しうるには、かなり無理な考察をせねばならず、どちらが常識的な見解かというのは想像に難くないでしょう。

まあ挙国一致体制と言っていますから、いざとなったら民間から資本を吸い上げる事もするかも知れませんね。

そうであれば外貨準備高4000億ドルは、確保出来るでしょう。

……かなり暴論ですが。