GSOMIAを分かりやすく解説!破棄したらどんな影響があるのか調査

11月22日追記

こんにちは、椎木です。

連日報道される日韓関係悪化のニュースですが、日本の輸出管理政策に対して、韓国側がタブーとも言えるカードをチラつかせてきましたね。

GSOMIA(ジーソミア)

日韓の間で交わされている軍事協定だと言うことは分かったのですが、このカードを切ることでどんな影響があるのか調べてみました。

※韓国側が破棄の意思を表明しました。これにより2019年11月23日の午前0時を持って失効する可能性が高まってましたが、11月22日に延長を表明しました。

 

GSOMIA(ジーソミア)とは?期限や延長は?

 

軍事情報に関する包括的保全協定General Security of Military Information Agreement)

イニシャルを取ってGSOMIA。

韓国との間の協定だけを指すなら、日韓秘密軍事情報保護協定とも呼びますね。

日本語の読み方がわかりにくいですが、ジーソミアと読みます。

同盟など親しい関係にある2国あるいは複数国間で秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐために結ぶ協定

ちなみに軍事技術に限らず、戦術データから暗号まで、有事の際の共同作戦で必要となる情報も対象です。

 

日本ではアメリカやNATOなどと結ばれていますね。

このGSOMIA、韓国とは2016年から協定が結ばれており、対北朝鮮での情報共有などで利用されています。

 

GSOMIAの期限は1年間と定められていますが、基本的にどちらか一方の国が更新の90日前までに申し入れがない限り、そのまま翌年も更新という形をとっています。

今まで日韓の間でも、2017年、2018年と滞りなく更新されてきました。

 

…が、2019年に入り日韓関係が冷え込んでいる今、更新の90日前である8月24日が近づくにつれて、協定の破棄を韓国側がチラつかせるなど常軌を逸する行動に出始めました。

 

流石にコレにはアメリカ側からも

やめとけ

と再三止めていたものの、その説得空しく韓国側が条約を更新しない旨を発表しました。

 

更新しないと言っても、一応11月22日いっぱいまではGSOMIAは有効です。

この最終期限である11月22日までに韓国側が更新の意思を示さない限り、条約は破棄されることとなります。

そして韓国側は、現段階では「更新しない」というスタンスを崩していないため、十中八九条約は破棄される見通しとなっています。

予想を裏切り韓国側は延長の意思を示しました。

背景などは後述します。

 

GSOMIAを破棄する理由はなぜ?

軍事協定をなぜ破棄するのか。

…というか破棄を突き付けてきたのは韓国側なのですが、その背景には2019年7月に日本が決定した輸出規制があります。

 

所謂ホワイト国除外により韓国側に軍事転用が可能な物資などを輸出するのに、今まではまとめて手続き出来ていたものを、個別で手続しないといけなくなったというものですね。

 

正直輸出しないとは言っていないので、他の国と同じように個別で申請したら問題ないのですが、なぜか韓国側は「ホワイト国」にこだわっているようです。

 

再三日本やアメリカから「GSOMIAは更新しようよ」

と言われても首を縦に振らない理由は、ごねる事でアメリカから日本に韓国への輸出規制見直しを要求させたいのだと見ています。

ただ今のところその思惑は上手くは言っていないようですが。

 

GSOMIAを破棄するとどうなる?

 

破棄となった場合のデメリットを分かりやすく考えるために、日韓それぞれでのメリットを見てみたいと思います。

韓国における日本とのGSOMIAのメリットは?

 

韓国におけるGSOMIAのメリットはかなり明確です。

半島と日本海を含む地域での安全保障で切っても切れないのが、北朝鮮の存在です。

北朝鮮への備えとして、韓国は日本が持っている情報収集衛星5基地上レーダー4基イージス艦6隻早期警報機17台など、高度な資産を使用し、逐次北朝鮮情報を共有しています。

これだけの設備から情報を共有している背景ですが、韓国には北朝鮮から発射されるミサイルを監視する衛星がありません。

つい先日発射された北朝鮮の短距離ミサイルについても、一度発表した飛距離を日本からのデータを基に修正しています。

元々430㎞としていた飛距離が実は600㎞だったという結果に……。

韓国国内の情報収集だけでは、ミサイルを完全にロストしているのがよく分かりますね。

こんな感じで日本からの情報共有は、韓国に対してかなりのメリットになっています。

つまり韓国側からするとGSOMIAを破棄するというのは、自国の防衛に多大なる不安を抱える事となります。

そんな中GSOMIAの破棄を表明したわけですが、ミサイル監視の衛星はどうするつもりでしょうか。

2017年の時のように、再び欧州諸国に対して「偵察衛星貸してくれ」とお願いする事になるのでしょうか。

……間違いなくまた断られるでしょうが。(後で詳しく書いてます)

 

日本における韓国とのGSOMIAのメリットは?

 

韓国側のメリットは、日本海において死角なしと言われる日本の優秀な情報共有が最たるものでしたが、日本においてのメリットも勿論あります。

韓国に来た脱北者などの人的ネットワークを通じた情報(HUMINT)を主に得ているという

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190802-00000032-cnippou-kr

流石に軍事機密になるのでどのような情報かは開示されていませんが、北朝鮮国民の生の声を聞けるのですね。

……ん?メリット?

ま、まあ、拉致被害者の情報とかも得られるかもしれませんし、そういった方面の情報は国民としても大歓迎です。

 

軍事情報かと言われると「?」ですが、拉致問題解決につながる情報があるならどんどんウェルカムです。

 

一応他にも韓国側から提供される有用な情報として、北朝鮮がミサイルを発射した場合、北朝鮮に近い韓国は発射と上昇ポイントの捕捉に長けているとの報道もありましたが、ソースは分かりませんでした。

この発射の捕捉制度ですが、2019年8月24日に発射されたミサイルの時は、韓国側の方が10分程報道が遅かったと、少し話題になっていました。

単純に10分日本より捕捉が遅かったのか、それとも捕捉したものの方角的に緊急ではなさそうだったので、精査してから報道したのか。

どちらにせよ、GSOMIAの更新をしないと言った状況での遅れなので、日本より長けていたらそのタイミングで遅らせるという事はないのでは?…と感じます。

 

ただ情報の精度を上げるためには多方面からの情報が必要なので、日本にとっても韓国の情報はプラスだと言えるでしょう。

 

まあ一番のメリットは、韓国との軍事同盟を結んでいる事により、日韓の背後にあるアメリカの抑止力で、北朝鮮や中国の動きをけん制できるという事でしょう。

実際日本政府側からも、過去最悪と言われる日韓関係においても「GSOMIAは別枠として考えるべき」との見解が出るほどなので。

 

結論:GSOMIAを破棄するとどうなるの?

まずアメリカは怒ります。まじで怒ると思います。

 

日本にとっては北朝鮮のミサイル情報の精度が若干落ちるかもしれません。

 

韓国にとっては未知数ですね。

ミサイル防衛設備をどうするのでしょうか。

閑話:韓国と北朝鮮ミサイル防衛

 

2017年に北朝鮮が相次いで実施したミサイル発射実験と核実験。

これを受けて韓国国内で北朝鮮に対する脅威が叫ばれ始めたのですが……

韓国では北の核・ミサイル開発に対抗し、防衛システム「キルチェーン」を構築し本土を防衛することとしていた。

韓国版「キルチェーン」とは、北の核・ミサイル施設に先制攻撃をかけるプランで、ミサイル発射の兆候を偵察衛星で把握し、発射場所を先制攻撃するもの。

韓国空軍の戦闘機KF-16の地上攻撃能力を向上させるなどの改造費も含まれる大規模な防衛計画だ。ところが、このキルチェーンの第一歩となる偵察衛星を、韓国は持っていなかった。

 

キルチェーンの大前提である、偵察を担う衛星を持っていませんでした。というか今も現在進行形で持っていません。

……気象衛星は2018年に打ち上げ直していますが。

 

この時はイスラエル、ドイツ、フランスの3国に偵察衛星を「貸してほしい」とレンタルを依頼しましたが、全て断られています。

……そりゃ断られるわ!

 

正直一般人の私でさえ、ちょっと「偵察衛星」の性質を調べただけで無理だと分かるくらいですから。

※偵察衛星とは、脅威のある場所を恒常的に偵察できる軌道にありそこに動きがあった場合、即座に知らせるためのものになります。

恒常的になので、動かしたら意味ないですからね。

 

この韓国の偵察衛星貸してくれ問題を簡単に説明すると、

「お前のところの防犯カメラを貸せ」

と言っているようなものでしょう。

 

恐らく100人が100人とも口をそろえてこう言うでしょう。

自分でどうにかしろ

と言う事で断られた韓国は、2023年までに偵察衛星5個を打ち上げるとしています。

 

1機目の打ち上げは2021年を予定していますが、ここでGSOMIAを破棄したら、それまでの2年間丸裸でどうするのでしょうか。

更に言えば、韓国軍はイージス艦を所持していますが、肝心のミサイル迎撃用装備SM3 がありません。

※SM3とは弾道ミサイルを高高度(大気圏外)で迎撃するシステムです。

 

ミサイルが発射されたことをいち早く見る「目」も相手の攻撃を打ち落とす「盾」も持ってない状況が長年続いています。

本当に破棄されるのか、ただ脅しているだけなのか分かりませんが、一度ご自分たちの置かれている状況を客観視して決断されることを願っていたのですが、お祈りむなしく破棄の流れになってしまいましたね。

 

ここで破棄するという事は、よっぽど振り切れているのか、若しくはGSOMIAに変わる安全保障の目途が立ったか……。

 

破棄を表明したタイミングが、日中韓の外相会談の直後というのがまた嫌なタイミングですね。

中国との会談もしているでしょうし、そうなってくると安全保障上の目途を中国側に見出した可能性が少なからずありそうです。

ただそうだとしたらアメリカの逆鱗に触れるのは間違いないですね。

流石にそこまで振り切れてないと思いますが……。

GSOMIA破棄についてアメリカの反応は?

 

ただの脅しだと思われていたGSOMIA破棄が現実となったわけですが、これに対してアメリカのポンぺオ国務長官が

失望した

とのコメントを発しています。

同時にアメリカ国防総省も声明を出し、韓国の決定に「強い懸念と失望」を示しています。

 

アメリカの政府高官が同盟国に対して「失望」を表明するのはかなりレアですね。(日本もかつて言われたことはありますが)

なにより国務長官と国防総省の複数の場所から「失望」の声明が出されるというのは、アメリカとしても本気の「失望」でしょう。

今のところトランプ大統領からの声明は出ていませんが、なにか発表があればまた追記します。

 

韓国がGSOMIAの破棄を撤回した理由はなぜ?

11月22日中に失効してしまう予定にも拘らず、11月21日までは

「輸出規制強化措置を取った日本の姿勢に変化がなければ、破棄の撤回はできない」

と強気の姿勢を示していただけに、理由は気になるところ。

 

実際のところは日韓に対してアメリカから何らかの圧力があったのは明白でしょう。

文政権の支持層世論であるGSOMIAの破棄に反する決定をした事からも分かるように、特に韓国に対しては、アメリカからの露骨とも言える圧力があったのは、言うまでもなさそうです。

 

たださすがに

「アメリカに怒られたから止めるのやめるよ」

とは口が裂けても言えないでしょう。

 

圧力に屈したと見られたくない韓国は、今回GSOMIA延長を決めた理由を

日本政府による韓国向け輸出管理措置の見直しについて、日韓の対話が行われるため

と発表しています。

 

要は日本が輸出管理を見直す可能性があるから、GSOMIAの破棄を一旦取りやめたよ。

と言っている訳です。

 

日本政府としてはGSOMIAと輸出管理問題は全くの別と言うスタンスですが、韓国側は

輸出管理見直しの再検討という日本の努力をもとに、条件つきでGSOMIA終了の効力を停止し、WTOへの提訴も中断した

とのたまっており、つまり日本が譲歩したから韓国も譲歩したとでも言いたげな発表をしています。

 

どうしても日本が譲歩したという形にしたい韓国

 

日本側が譲歩などありえません。

一部報道では

輸出管理の問題について、日韓両政府が局長級の協議を再開することで合意したこともわかった。
出典:FNNプライム

という情報が流れていますし、協議を行うのは事実ですが、日本側の主張は

韓国側がWTOへの提訴を止めたため、協議に応じる

と言う内容でした。

 

この協議に関しては外相、経産相いずれも

GSOMIAと輸出管理は別

という旨の発言をされています。

 

まあ、当たり前ですよね。

…というかこんなところで政府が折れようものなら、「桜を見る会」どころのレベルじゃない反発が起きるのは必至でしょう。

昨今の冷え込んだ日韓関係に国民の政府に対する対韓姿勢を見る目はかなり厳しいですから。

 

つまり日本としては

韓国がWTO提訴をやめる

ならば

輸出管理の協議に応じる。

という形。

 

それが韓国側では

日本側が輸出管理の協議に応じる

ならば

WTOの提訴もやめるし、GSOMIAも延長します

という風に発表しているわけですね。

韓国としては、来年に控える大統領選も踏まえ、何としてもアメリカの圧力に負けたと国民には悟られたくないのでしょう。

 

GSOMIA破棄の延長を決めた背景のまとめですが

アメリカの圧力に耐えられなくなった韓国が、何とか日本が譲歩したと見える「協議」を引き出すため、WTOへの提訴を取りやめ、国民にはうまく日本を譲歩させたように見せつつ、アメリカの圧力に屈した。

という風ににらんでいます。

 

まとめ

 

今回はGSOMIAについて期限や延長のシステムと、メリットや破棄したらどうなるかを調べました。

 

日本においても我々が知りえないだけで、おそらく軍事機密のやりと入りでのメリットがあるのでしょう。

……あってくれないと何のための協定か分からないので……。

 

韓国においては、我々一般人が知りえるだけでもかなりのメリットがあるので、正直コレを手放すとなればもはや狂気としか言いようがないですね。

北朝鮮からは「親日の売国協定だ」と揺さぶりがかかっているくらいですし、北朝鮮に対する抑止力としては少なからず働いているのでしょう。

そこを「確かに売国協定だ!」などと目先の感情で動いているようにも感じるので、恐ろしいところではあるのですが…

安全保障と経済問題は別口で考えないといけないと思うのですが、韓国としてはどうしても日本産のフッ化水素が欲しいようです。

 

破棄を延長するという事になりましたが、それでも「いつでも破棄できるものとする」といった前提条件付きです。

延長こそされていますが、いきなり「今日から止めるよ」的な事も起こりうるので、余計にリスクが高まった気がしないでもないですが…アメリカはそれでよかったのでしょうか。

 

 

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