金融所得課税の引き上げの問題点とは?私達にどう影響するのかも分かりやすく解説

何かと話題にのぼることの多い

金融所得課税。

とりあえず増税されるかもしれない。

ということだけは分かるのですが、それ以外のことは

ニュースを見ていても

  • 何が問題なのか
  • 自分たちにどのくらい影響があるのか

と言ったことがイマイチ分かりにくかったので、色々調べてまとめてみました。

金融所得課税とは?なぜ増税が検討されているの?

そもそも論、金融所得課税ってナニモンよ。

って事で、簡単に説明すると

株式等の取引で得た収入(配当金含む)にかかる税金の事を言います。

現在一律で

所得税15.315%(地方税と合わせ20.315%)

となっています。

ま、金融所得で1億円の収益があがったら、

税金で2000万くらい引っ張られますよー。

ってことですね。

おいおい2000万も持ってかれるのかよ!

って思うかもしれませんが、正確には

2000万で済んだのかよ。良かったな

というのが、正しい表現です。(現在の日本の税金のしくみでは)

金融所得課税がなぜ問題?分かりやすく解説

なぜ、そんな思考になるのかというと、

所得税に関しての説明をする必要があります。

個人が収入を得た際にかかる所得税。

一概に所得税と言っても

  • 給与所得
  • 金融所得
  • 不動産所得

と様々な種類の所得があるのですが、

ほとんどの人に馴染み深いのは給与所得ですね。

給料から勝手に天引きされる、あの憎いやつです。

この給与所得にかかる所得税の計算には

累進課税制度というものが用いられています。

195万円未満の5%からはじまり、

4000万超の45%まで。(地方税を合わせると55%)

稼いだ額に応じて、税率が決まってくるというものです。

そう、給与で1億円稼いだとすると、

単純計算で5500万円も持ってかれる。

ということになります。(もちろん本来は控除額等で幾らかは戻ってきますが)

金融所得で得た1億円と、給与所得で得た1億円。

同じ1億円なのに税率が違うという事が、おわかりいただけたと思います。

金融所得税の問題点は「一億円の壁」?お金持ちほど税率が低なる?

同じ1億円で税率が違う。

という事実が、なぜそこまでフォーカスされているのかと言うと、

お金持ちほどトータルの税率が低くなる傾向にある。

という統計に基づいています。

いわゆる「1億円の壁」と呼ばれる現象の事です。

いやいや。さっき「所得が上がれば税率が上がる」って言ったばっかやん。

とお思いかもしれませんが、

「所得が上がれば税率があがる」

というのは、その所得が全て給与所得であった場合のみです。

簡単な例を挙げて説明します。

年収2億円の二人AさんとBさんがいます。

それぞれの収入の内訳は以下の通り

Aさん:給与所得2億円

Bさん:給与所得5000万+金融所得1億5000万

Aさんの税率は先程説明したとおり55%で

納税額は1億1千万円(控除等は計算に入れていません)

一方Bさんはと言うと、以下の表を見て下さい

※控除及び、税率の端数は切り捨ててます。

給与 金融 合計
所得額 5000万 1億5000万 2億
所得税 2750万 3000万 5750万
所得税率 55% 20% 28.7%

と、ご覧のように、同じ2億円でもBさんのほうが税率が下がってしまっています。

これは先程説明した通りですね。

同じ1億でも税率が違うよー。

ってことです。

ては、かなり極端な例になりますが、Bさんが金融所得を10倍稼いでいたとしたら?

給与 金融 合計
所得額 5000万 15億 15億5000万
所得税 2750万 3億 3億2750万
所得税率 55% 20% 21.1%

という具合に、更に税率が下がるという現象が起こってしまいます。

トータルの所得額のうち、

金融所得が多ければ多いほど、最終の税率は下がってしまう

年収330万円以上で所得税の税率は20%(地方税込で30%)のなので、

年収15億超えの億万長者と、年収330万円の新入社員との比較でも

新入社員の方が税率が高い。こういった逆転現象が起きてしまっています。

上記はかなり極端な例です。ただこういった現象が、

年収1億円を超えてくるあたりの人から多くなってくることから

俗に「1億円の壁」と呼ばれています。

年収1億円を超える人の多くが、その所得を金融所得に頼っている。

という現状が、上記のような税率の逆転現象を起こしている訳ですね。

逆に言えば、年収1億を超えようと思ったら、金融所得がないと難しい。

という何とも夢のない話とも言えますが…。

この逆転現象が金融所得課税の問題点と言われています。

金融所得税増税の問題点は?分かりやすく解説

金融所得課税についての問題点は、逆転現象だということは分かりました。

トータルで収めている税金の額は比べるべくもないですが、

それでも税率だけ見たら、私のような庶民からしたら

持ってる人から税金を取るのは当たり前では?

と考えてしまいます。

一見すると不平等の是正に見えるこの増税案ですが、

正直言って逆転現象の解消にはかなり難しい問題だらけの増税です。

その訳を詳しく解説していきます。

金融所得課税引き上げの問題点①貯蓄から投資へと逆行する政策

まず挙げられる問題点として、

投資に対する嫌厭感の増長です。

簡単に言うと、

リスクもあるのに税金まで上がるなんて投資なんてやってられっか。

って人が増えちゃうかもしれない事が問題点の一つです。

日本政府は長い間経済の柱の一つとして

「貯蓄から投資へ」

というスローガンを掲げてきました。

いわゆるNISAなんかもその方針の影響で生まれた制度ですね。

このスローガンが掲げられている背景ですが、

日本家庭の金融資産における預貯金が占める割合が多い事が挙げられます。

2016年と少し古いデータですが、当時の日本家庭における金融資産は

1746兆円

その内訳は

  • 現金・預金:52%
  • 保険・年金:30%
  • 株式・投資信託:15%
  • その他:3%

となっています。

現金と預金だけで900兆超え・・・。

預貯金の額がえげつないですね。

ちなみにアメリカはというと

  • 現金・預金:14%
  • 保険・年金:31%
  • 株式・投資信託:29%
  • その他:26%

となっています。

ちなみにこの2016年は株式投資への大幅減税が行われている真っ最中でした。

(当時は20%から一律10%へ減税)

そこまでやっても預貯金から投資にシフトしない日本の家庭において

増税なんてやってしまおうものなら

余計に投資に回るお金が減ってしまう。

と言う問題点が挙げられています。

事実、岸田総理は2021年9月の自民党総裁選挙でこの政策を掲げて

「成長と分配の好循環」や「新しい資本主義」を訴えていましたが、

2021年9月27日から8営業日連続で日経平均株価は下がりまくってます。

下げ幅も約2700円と、およそ一週間ではなかなか見ない下げ幅となりました。

もちろん半導体不足など世界経済の事情も多分にありましたが、

それでもこの政策にも要因があるという見方は強いです。

金融所得課税引き上げの問題点②逆転現象の解消は無理?

金融所得課税の引き上げの最たる理由、

めっちゃ稼いでるヤツの税率が低いよ問題。

現状通りの分離課税方式で逆転現象を解決しようとすると

税率を20%から35%にまで増やさないと難しいというデータがあります。(データ参照:日本総研より)

一律税率を35%にしてしまうと、懸念されるのは

低所得者の金融資産にもダイレクトでダメージがある。

という部分でしょう。

今までの倍近い税率になるので、低所得者にも少なくない痛みがあります。

また、低所得者の負担を軽くするために、総合課税制度を導入したとすると

高所得者層の負担が一気に増えることになります。

例えば先程の例であげたBさんなら

3億2750万8億5250万

とトンデモナイ増税に合ってしまいます。

もちろん、総合課税型になれば、新たな税率計算がなされるかと思いますが、

正直言って、ここまでの増税になれば、高所得者の多くは日本を脱するんじゃないでしょうか。

何より課税率の高さを懸念して日本の株式市場が冷え込んでしまう可能性が高いです。

分離型で逆転現象を解消するにしても、総合課税制度を導入するにしても

今の「逆転現象を解消する」という目標を達成するにはかなり難しいと思えます。

金融所得課税引き上げで私達に影響はある?

金融所得課税引き上げがどの程度私達に影響を与えるかですが、

現在のところ未知数。

と言うのが本音です。

と言うのも、現在金融所得課税の引き上げについては見送られてしまい、

何より先程あげたような分離型なのか、総合課税型なのかすら分かっていません。

分離型で一律に税率が上がるとしたら、

このページを見ている方が低所得、高所得に関係なく増税ということになります。

総合課税型での税率引き上げになるのであれば

高所得者の方はかなりの税負担になるでしょう。

どちらにせよ、株式市場への影響は確実に出ますが、

その影響がどの程度のものになるのかも税率次第という事です。

ということで正直なところ現時点で私達にどの程度の影響があるのかは

分かりません。

金融所得課税引き上げはいつから?

気になる税率の引き上げですが、2022年の税制改正大綱では見送られました。

ただ、2023年度に復活する可能性もありますし、

何より夏の参院選の結果次第では再び議論に熱が入る恐れもあります。

今回の見送りが夏の参院選のためのパフォーマンスとまで言われているくらいですからね。

早ければ参院選ごから議論が再開し、2023年の税制改正大綱にて引き上げが決定する可能性もあります。

ただ、何度も言う通りこの税率の引き上げは株式市場への影響が少なくないので、

そのあたりのすり合わせには時間を要するかと思います。

そうなってくると、一番可能性が高いのは

分離型での税率引き上げで、株式市場への影響を見ながら小幅に上げていく。

という結構小狡い方法をやってきそうな気が・・・。

金融所得課税引き上げの問題点を分かりやすく解説してみた(まとめ)

今回は度々話題に上がる

金融所得課税の税率引き上げ問題について

どういった事が問題なのか

私達の生活への影響

などをまとめました。

問題点としては、

「貯蓄から投資へ」とか言いまくってたのは、ここからも税金を取る気だったんですね。

と世間一般から総スカンを食らっていること。

私達の生活への影響は

今の所分かりませんが、増税されて良くなるということはないでしょう。

「成長と分配の好循環」大いに結構。

ただ、それっぽい雰囲気の政策であるのならノーサンキュー。

政府にはもっと真摯に議論を進めていただきたいものです。

また何か情報が入り次第追記します。