こんにちは。
かねてからトランプ大統領が抜ける抜けると言っていたパリ協定ですが、アメリカがついに離脱を通知しましたね。
最初にトランプ大統領がパリ協定離脱を宣言したのは、2017年の6月なのでおよそ2年越しの離脱と言う事になります。
今回は
- なぜこの段階での離脱なのか
- 離脱のメリット
- 世界の反応
を調べてみました。
アメリカのパリ協定離脱はいつ?なぜこのタイミング?
イギリスのブレクジット、アメリカのパリ協定離脱。どちらも長年
「抜ける抜ける」
と言いながら中々進展していませんんでしたが、パリ協定については遂に離脱となりました。
パリ協定とは
- 地球の気温上昇を産業革命前と比較して2度上昇より「かなり低く」抑え、1.5度未満に抑えるための取り組みを推進する。
- 温室効果ガス排出量が速やかにピークに達して減り始めるようにする。今世紀後半には温室効果ガスの排出源と吸収源の均衡達成。森林・土壌・海洋が自然に吸収できる量にまで、排出量を2050~2100年の間に減らしていく。
- 5年ごとに進展を点検。
- 途上国の気候変動対策に先進国が2020年まで年間1000億ドル支援。2020年以降も資金援助の約束。
というような内容で2015年の12月に採択され、2016年11月4日に発行されたものになります。
ただ採択はされたものの、今のところ適用はされておらず2020年からの適用を目指して今までCOP24やらで会議が続いてきました。
COP25開催を目前に、アメリカが正式に離脱を表明し、その行方がどうなるか気になるところでもありますね。
アメリカはなぜこのタイミングで離脱?
2019年11月4日にアメリカが正式にパリ協定からの離脱を通知しました。
離脱に必要なプロセスには1年を要するので即刻離脱という訳にはいかず
アメリカは大統領選の翌日である2020年の11月4日に正式な離脱となります。
気になるのは、なぜこのタイミングでの通知と言う事なのですが、よくよく調べてみると
アメリカが今回このタイミングで離脱を表明したのは、協定第28条1項によるものでした。
パリ協定が発効されたのは2016年の11月4日で、3年後である2019年11月4日まで協定脱退を他の締約国に通告できないというもので、それを考えると離脱を通知できるようになったその日に離脱を通知した事になります。
どれだけ抜けたかったんだよ…。といいたいですが、即断即決は流石トランプ大統領と言ったところでしょうか。
また2020年の大統領選挙の次の日と言うのは、トランプ大統領にとってはうまく大統領選の争点として使えるという部分もあるでしょう。
大統領選の如何によっては、パリ協定への再参加も考えられているので、トランプ大統領からアメリカ国民へ真を問う形になりそうです。
パリ協定脱退によるメリットは?
パリ協定は、地球温暖化防止を目指して、温室効果ガスの排出についての2020年以降の各国の取り組みを決めた国際的なルールだというのは先程も述べました。
これが画期的なのは、先進国だけでなく途上国にもそのそのすそ野が広げられたことでしょう。
- 産業革命前からの地球の気温上昇を2℃より⼗分低く保つ。1.5℃以下に抑える努力をすること
- そのために、21世紀の後半に世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにすること
この2つの目標達成のために、参加各国に対して
- 自主的な削減目標を国連に出すこと
- 達成のため、削減に向けた国内の対策を取ること
を義務づけています。
日本においても、2030年度の温室効果ガスの排出をに2013年度の水準から26%削減することが目標となるなど、世界各国で独自の目標を設けてそれを目指す事になります。
アメリカがこれを脱する事での最大のメリットは
温室効果ガスの排出量の削減に努力しなくていい
というシンプルなものですね。
ただこれにより、温室効果ガスを抑制するために欠けるコストを削減出来たり、経済活動を気兼ねなく行えるという事が挙げられます。
アメリカファーストのトランプ大統領らしい考えといえるでしょう。
ただ、先ほども挙げたように、世界各国で独自に目標を設定しているため、各国がそれを達成したとしても、パリ協定で定めた目標には到底届かないと言われています。
そうなってくると、更に厳しい努力をする必要が出てくるのは必至で、そういった「名ばかりの協定」に意味を見出せないという理由もありそうですね。
それでも温室効果ガスの排出量世界2位のアメリカが抜けると、更に条件が厳しくなるのでもう少し世界と歩調を合わせて欲しい気がします。
パリ協定のアメリカ脱退で世界の反応は?
脱退を表明した時点で世界各国から非難の声明や残念だという声が聞こえてきましたが、それぞれの反応をまとめてみました。
アルゼンチン政府としてはパリ協定から脱退するという米国の決定は大変残念である。
出典:アルゼンチン政府
トランプ政権が、世界が約束している最も重要な気候の協定から米国を脱退させることを決定したことに非常に失望している。
我々は衰えることのない力をもって、気候変動に対する取組みを続けていく。出典:ノルウェー政府
首相はこの決定に失望を表明した
出典:イギリス政府
我々は、米国連邦政府によるパリ協定からの脱退の決定に深く失望している。
出典:カナダ政府
米国と協力していきたいと考えていたが、米国政府がパリ協定から脱退を表明したことは残念だ。気候変動問題への対応はグローバルな課題で、米国の関与は引き続き重要であるという認識の下、米国に対して働きかけを行っていきたい。
出典:菅官房長官発言より
とまあ世界各国から「残念だ」と言う表明が出ていますね。
中国などはあまりアメリカの事に触れておらず、「中国は頑張る」と言うスタンスでした。
今後アメリカ抜きでどういった活動が進んでいくのか注視したいと思います。
まとめ
今回はパリ協定を脱退するアメリカについて、タイミングやメリットなどをまとめました。
タイミングは、規約によって縛られていた期間が終わった事ですぐに表明と、かなり抜けたかったのがよく分かります。
抜けられるようになった。と言う事もありますが、それ以上にわざわざ大統領選の1年前に急いで抜けるという事から、大統領選での争点として使う気もありそうです。
どこまでもトランプ大統領らしい判断だと思います。
この通知により世界からは概ね「残念だ」と言う反応が見られていますが、結局そういう表明を出すくらいしか出来ないというのはもどかしいところですね。
この温暖化の時代に生きる一員として、可能な限り温室効果ガスの発生を抑止出来るよう協力を惜しみませんが、今後どうなるのか注目したいと思います。