種苗法改正法案に反対するのは何故?問題点を分かりやすく解説

コロナ禍の中、ひっそりと成立しようとしている

種苗法改正法案

一時期有名人が反対を表明したりして問題になりましたが、

  • 実際何が問題なのか
  • なぜ反対しているのか

イマイチ分からなかったので調べてまとめてみました。

そもそも種苗法ってどんな法律?

問題となっている種苗法改正法案を簡単に説明します。

そもそも種苗法とは

植物の新品種の創作に対する保護を定めた法律です。

よく分かりにくいですが簡単に言うと

植物版著作権

と言えばいいでしょうか。

品種を初めて農林水産省に登録する人を「育成者」と呼び、

審査を経て登録された種苗や収穫物、一部の加工品を利用する権利を専有します。

育成者以外の人間が、登録品種を使って事業を行う場合、

つまりそれで農業をする場合は育成者の許諾が必要になる。

と言うのが現行の種苗法の内容になります。

登録品種は、長年をかけて研究した育成者の努力の結晶です。

それらを使用するなら、ロイヤリティを払ってね。

と言うのは、著作権なんかでも同じですね

種苗法改正案のどこが問題?

2020年に審議が行われている種苗法の改正案ですが、

主に問題になっている部分は

  1. 農家による登録品種の「自家増殖」に育成者の許諾が必要になる
  2. 育成者は登録品種を許諾なく輸出できる国や栽培地域を指定できる

と言う二つの部分について。

この他にもいくつか細かい変更点はあるのですが、一番過熱しているのはこの二点です。

それぞれ説明すると

農家による登録品種の「自家増殖」に育成者の許諾が必要になる

自家増殖とは、

  • 種を取る自家採種
  • 接ぎ木
  • 種イモ

などの収穫物から次の世代を生み出すことです。

例えばイモ類は、収穫して種イモに回したりしますし、

トマトなんかは接ぎ木でも成長しますよね。

これまで一度許諾を得た農家による自家増殖は自由でしたが、

今改正法により、種イモに回したり、接ぎ木をしたりする事も

育成者の許諾を得なければならなくなります。

ここまで読んだ方なら

おいおいおい。農家が自分で栽培するのにいちいち許可取るとか、

どんだけ金を徴収する気だよ。

ってなりますね。

反対されている方は大体そんな感じで

「農家の権利を制限するのはおかしい」

というのが反対派の大まかな主張です。

育成者は登録品種を許諾なく輸出できる国や栽培地域を指定できる

ではなぜ、こんな事を言い出したかと言うと、

二番目にあげた

育成者は登録品種を許諾なく輸出できる国や栽培地域を指定できる

という部分が掛かってきます。

登録商品を許諾なく輸出できる国や栽培地域を指定

簡単に言うと、

頑張って品種改良した種苗を

海外とかに出したらダメだよ

って事ですね。

一応は海外がメインですが、海外でなくとも

例えば県外だったりと指定して禁止する事も可能です。

というのも、育成者と呼ばれる方の中には個人や企業は勿論ですが

地方公共団体も含まれています。

地場産業として頑張って開発した農産物が、

気が付いたら別の県でも作られてました。

とかシャレになりません。

例えば超有名ないちご「あまおう」

福岡農業総合試験場で約6年間という長い年月をかけ、

試行錯誤の末誕生した品種です。

そんなブランドが、全く別の県で作られてたら

たまったモンじゃないですよね。

そんな事が続けば、誰も品種改良なんて面倒な事やらなくなります。

だって、誰かが頑張ったのパクったらいいから。

と言う事が起こらないように、接ぎ木や種イモなどに至るまで、

増やすという事に関して育成者の許諾を必要とする。

って事が盛り込まれています。

賛成の方々は、この辺りを挙げて(特に対海外)

日本の品種が流出するのを防ぐため必要

と言う声をあげています。

種苗法改正案はなぜ反対が多いのか?

賛成の人は~

とか書きましたが、実際ネット上では反対派が盛り上がってるのが事実です。

一番大きな理由は先述した通り

  • 自家増殖の一律禁止だ
  • 許諾料が農家の負担になる

という部分がフォーカスされています。

これに対して、農林水産省の説明は

流通する種苗の9割は一般品種で、改正の影響は限定的。
許諾料も安価になる予定の為経営への影響は考えにくい。
としています。
農林水産省の説明を見る限りでは
登録品種って言っても一部だけだし、
ブランド物を取り扱うならロイヤリティは普通じゃない?
しかも安いって言ってるから
となってしまいそうですが、実際の所はそこまで単純じゃありません。

自家増殖禁止は限定的なので影響は少ないというのは本当?

流通している品種のおよそ9割が一般品種だから、限定的な影響しかないという農林水産省。

ちなみに農林水産省が提示している主な農作物での登録品種の割合は

農産物 登録品種の割合
17%
ミカン 3%
リンゴ 5%
ブドウ 13%
ジャガイモ 10%
野菜 9%

この時点で品種によっては1割を超えているものもありますが…

全体で見たら一般品種が9割なのかもしれません。

ただ気になるのが「野菜」ですよね。

なんだよ野菜って。

大きすぎるわ範囲が。

ジャガイモは単体の癖に野菜って。

実際沖縄で栽培されているサトウキビの収穫面積は下の図の通り。

少し画像が小さくて見えづらいですが、収穫面積の42%を占める

Ni27と言う品種は2010年に登録された登録品種です。

同じようにNi21,22も登録品種なので、この三つだけでも

50%を超える品種が登録品種であるという事が分かります。

こんな感じで品種ごとに絞っていけば、余裕で1割超えてくる品種があるのに、

9割は一般品種だから大丈夫ですよ。

と言う説明が、不十分すぎるので反対派の声は収まりません。

実際、農林水産省は

反対している方は誤解している

と言う認識の発言をされていますが、

誤解されるような説明しか出来ていないお前らが悪い。

と言いたいです。

野菜9%ってなんだよ。マジで。

許諾料が負担にならないって本当?

増やすごとに許諾料を取られるけど、

許諾料は安くなる(はず)ので大丈夫。

と言う農林水産省の回答ですが、

これに関しては、実際は

種苗法が改定された場合の許諾料やその手続きについて、育成者側がまだ何も決めていない

と言うのが現状です。

要はお金をいくらとるとか

どんな手続きにするとか

まだノープランでっせって事。

実際、公的機関や企業が開発して、農業を振興させたい思いがあるので

法外に高くなるとは考えられないが、値段も決まっていない段階から

安くなる

と言うのはちょっと無責任すぎる気がします。

値段は安く抑える。

って言うなら分かるんですが…。

別の負担が増える気がしてならないんですが…

一応許諾料に関して、法外な値段を取られる可能性は低いですが、

別の部分で負担が増えそうです。

自家増殖の許諾を得るのに毎回許諾が必要なので、

農家は毎回種を増やしたりする時期に

  • どれだけ増やすのか計算
  • それぞれの許諾料を計算
  • それを振り込みに行く

と言う面倒くささ。

加えて、じゃあその申告に虚偽がないかを

誰かがチェックせねばなりません。

まあJAに丸投げでしょうが…。

そういった今までとは違う負担が増えてくるという事も

小さいですが、反対の一因としてあります。

種苗法改正法案が反対される理由のまとめ

以上、反対される要因を色々見てきましたが、

端的に言って、反対される理由の最たるものは

農林水産省のずさんな説明

説明がガバガバ過ぎるので信用がならん。

と言うのが大きな要因じゃないでしょうか。

反対している方の中には、デマのような事を拡散している方も見受けられますが、

それらを抑えられないのは、確実に農林水産省や大臣の説明不足でしょう。

個人的には日本の自治体や企業、個人の方が頑張って品種改良した作物が

海外などに渡ってしまう事は避けたいです。

これはマジで避けたい。

農家さんの為にも。

努力の結晶なわけですから、そういった物を守るというのも

農家さんを守るという事に繋がるのは間違いないと思っています。

なので、もっときちんとした説明を持って、

一刻も早く、育成者の努力の上澄みだけを

掻っ攫われるような事態を改善していただきたく思います。